小川 洋子 「ことり」

 

ことり

ことり

 

 

f:id:kusemono88:20140406175123j:plain揺るがない静謐な文章には安心を覚える小川さん。今作は「小鳥」を題材に、ポーポー語しか話せない兄と弟の話です。

f:id:kusemono88:20140406175344p:plainポーポー語?

f:id:kusemono88:20140406175123j:plainようは鳥語だね。鳥と意思疎通できる言語らしい。周囲の人間には理解出来ないけど、本作の主たる弟には伝わる言語なんだ。

f:id:kusemono88:20140406175344p:plainへえ。何だか楽しそうな言語ね。

f:id:kusemono88:20140406175123j:plainそれしか話せないのは生きていく上では至難だけどね。実際、苦労してそうだったし。けれども、兄の方は全く悲壮感はない。彼は鳥を愛していたからね。

幾つかの話の起伏はあるけれども大きな変化は無く、兄の死後に彼が持っていた世界に弟が身を投じ「小鳥の小父さん」と呼ばれるようになるんだ。

f:id:kusemono88:20140406175344p:plain何だか暗そうね(⌒_⌒;

f:id:kusemono88:20140406175123j:plainここだけを聞くと、そう感じるのは無理ないかな。けれど、小川さんの柔らかい言葉と世界観がそう感じさせない。孤独ではあるけれど、寂寥感は無い。

f:id:kusemono88:20140406175344p:plain恋もするのよね。

f:id:kusemono88:20140406175123j:plainああ司書さんね。彼女の存在が無ければ小鳥の小父さんは存在し得たかな? って思うけど、どうなんだろ。

他にも園長先生とか、遠まわしではあるけれど薬局の人とかの存在に、この話は救われてる。これは読み手がだけどね。

f:id:kusemono88:20140406175344p:plain小川さんといえばハッピーエンドの話は少ない印象だけど、これはどうなの?

f:id:kusemono88:20140406175123j:plain例に漏れずTRUE ENDかな(⌒_⌒;

怪我をしたメジロを助けて心を通わす場面は泣きそうになるよ。そしてラストは冒頭に繋がり、救われないようで救われた感じの余韻で終わります。

f:id:kusemono88:20140406175344p:plain評価の方は?

f:id:kusemono88:20140406175123j:plain評価は★★。

小川さん、そろそろハッピーエンドが読みたいです。