筒井 康隆 「聖痕」

 

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朝日新聞に連載。今は終了し、現在は宮部みゆきの荒神が連載中。

なんとはなしに琴線が引かれ毎朝、楽しみに読んでいた小説。簡単にあらすじを言うと美少年が変態に陰部を切られ、不能者となった主人公の生い立ちを追うというもの。年代設定は多分に俺と同世代。だから、物語は最後までは語られない。しかし、主人公の設定が同世代とはいえども、全く共感できない。不能者となれば、リビドーは成る程消失するやもしれんが、達観するのだろうか? そこら辺りは理解に苦しむとこだが、そうでなければ単なるハーレム男のお話で終始するので、深くは考えまい、と自分に言い聞かせる。他に特筆すべきは、著者の語彙の多さだ。

新聞連載小説一回に掲載出来る文字数が600文字前後。多い時は2割、注釈で埋められる。それを無視して読み進めるには美しき哉、日本語。

物語は抑揚に欠けるものの、苦ではない。ただ、一冊の本にいずれなり、読み易いかと問われると、疑問は残るのは否めない。

評価は☆