梨木 果歩 「 雪と珊瑚と 」
- 作者: 梨木香歩
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/04/28
- メディア: 単行本
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なんだか、梨木先生のファンサイトと思われそうなぐらい読んでますが、それぐらい外れが無いという事です。
どんな時でも、自分さえしっかりしてれば大抵の事は何とかなる。現になんとかなった。そんな、主人公であるシングルマザーである珊瑚、21歳が自分が泣いてると気づく所から物語は始まる。
何だかんだで紆余曲折はあるものの、とんとん拍子に事は上手く進んでいく。そんな上手い話がある訳ねえよ。いつ堕ちるんだ? いや、堕ちて欲しくねえなぁ。複雑な気持ちで読み進めていくと、娘、雪の夜泣きが始まり珊瑚の精神状況も好くないことも相まって--------------。
正直、この辺は凄い解る。理屈じゃなくて感情が先に立つものだよなぁ。子供だからって無条件に許せるものでは無いと思う。後々、自己嫌悪に陥るのだけどね。
幸いにして、珊瑚は虐待には至らなかった。そして、この日が初めて雪が珊瑚をママと呼んだ。
珊瑚自身、母親に放置虐待を受けていた事。そんな母親が珊瑚を信用出来ると言い切った事。元、同僚の辛辣な手紙。色々な事を珊瑚は呑み込み、前に進もうとする。ラスト、まだ重い空気が残滓にあるのだが雪の発した言葉が一気に覆す。
「ごあん。おいちぃ。おいちいねえ。」
「ああ、ちゃーちぇねえ」
そうだ。美味しい物を食べれば人は幸せだ。
目頭が熱くなったので、評価は三ツ星☆☆☆