古処 誠二 「ふたつの枷」
四編からなる短編集。
短編だからとて侮るなかれ。この本は重い。
第二次世界大戦、敗戦後初期、舞台は東南アジアの旧日本軍の話。
とはいえど、軍艦や戦闘機が活躍するのではなく、あくまで兵士の日常を淡々と描ききった話だ。戦争を知らぬ我々は史実や資料でしか当時の情報を知り得ないが、恐らく誰からも語られる事はない現実が此処にはある。
それは苦しく、直視したくない現実だった。ドキュメントでは無い、これは創作だと解っていても重い。
難解な言葉もあったが、別に問題はない。
しかし、この人はデビュー作から見事なまでに作風が変わりましたね。
同じように藤原伊織さんも変わったけど、極端に振れますね。
何はともあれ「永遠の0」とかと同じジャンルとして捉えると古処先生は作風が全然違いますよって話です。
評価は★