山崎 ナオコーラ 「 ニキの屈辱 」

ニキの屈辱

ニキの屈辱

 

この作者は初見。

随分と前に「人のセックスを笑うな」で何かの賞を取ってたのは知ってたが、その時期は本読から離れてたので今日まで読まず終いだった。

ざっくりと言うと不器用な女の子が不器用な恋をして、最後の最後になって、相手の本当の気持ちに気づけたって話なんだけど、その彼氏たる主人公が妙に気持ち悪い。いや、仕事上では上司。プライベートでは恋人。その主従関係に気持ちが振れる心理は理解出来なくもないのだが、なんだろう。この男は妙に気持ち悪い。友達にはしたくないタイプだ。

不器用な女の子、ニキは本当に不器用で可愛い。ラストの方で二人が食事をするシーンでのやり取り。後味の悪い別れの余韻を吹き飛ばす台詞。

「ちゃんと好かれてたんだ。私、人間だったんだ」

この台詞が無かったら、この本は惰性で退屈な恋愛小説から脱却出来なかっただろう。作者に拍手です。

しかし、淡々とした文章を書く人ですね。150P弱ぐらいしかないから、一気に読めました。

 

それはそれとして、この話に出てくるニキと彼氏の加賀美の二人はカメラマンであるのだけど、私もカメラに一時期凝ってた時代がありました。

当時はデジタルの時代じゃなかったので、アナログな一眼レフでした。まあ、フィルム代と現像代はバカになりませんでしたね。今はデジイチペンタックス)を所有してるけど、全然撮ってません。専ら、運動会にのみ活躍です。

そんな現状ですが、最近衝撃を受けた画像があります。

私がカメラを手にした時から、ずうっと撮りたかった構図です。

 

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 思ってた構図とは少し違うんですが、電車に座ってる足だけを撮りたかったんです。色んな靴と足、服を人間を撮りたかった。

ただ、駅員に突き出されるのは高確率なんで、不可能だと諦めてたんだけど、撮ったんだな(盗撮でないことを祈る)。それと同時に、似た事を考える人はやっぱり居るんだなと、二重で衝撃でした。

 

話が脱線しましたが、カメラが云々と余計なくだりもなく、あくまでプロットは不器用な恋愛です。カメラは小道具に過ぎません。

ニキが可愛いかったので、甘めに評価は☆☆