朝井 リョウ 「 もういちど生まれる 」

もういちど生まれる

もういちど生まれる

 

5編からなる短編小説。それぞれ話の主人公は変わるのだが、登場人物はリンクしているので連作小説と言い換えてもいい。

ざっくり言えば、大学生のリアルを描いた話という事になるのだが、もう青い時代は過ぎたという人も今、進行形の人にも共感できる一冊だと思う。

残念ながら、私はとうに過ぎた人なので回顧する訳ではないけれど(そこまで年は取ってない)、漠然とした未来に不安と期待を混ぜ合わせたような、それでいて爆発しそうな鬱積が常に隣り合わせの時間を泳いでいるのが、若者というもので、それは皆、平等に訪れる。リアル世代には痛い程に彼ら、彼女の苦悩と気持ちが心に刺さるのだろうな。

個人的に何故、椿の話が無いのだろう? と疑問です。彼女こそ居場所を探す事に真摯な人間なのに。

 

評価は★