道尾 秀介「月と蟹」

 

月と蟹 (文春文庫)

月と蟹 (文春文庫)

 

 直木賞受賞作。

文庫落ちして直ぐに買ったものの、中々読み進められなかった。

仕事がよぅ 立て込んでるんだよぅ 早く元の生活に戻りてえよぅ。

早く 定時で 帰りたい!!! (妖怪人間ベム風に)

 

まあ、それはそれとして圧巻なのは風景と場所の描写力の高さだ。まるで写真を見せられてるかのように、すんなりと想像出来る。

そして、主人公である少年の爺様の台詞、ひとつひとつが胸を穿つ。

道尾作品には珍しく場面の起伏が余り無く、淡々と話は進んでいく。

最後の方で天秤が少しづつ傾き、じわじわと心に染みいり、やがては余韻を深く残すラストなのだが、それまでは正直かったるいです。

それに子供ってこんなもんなんだけど、実際自分も通ってきた道であり現在進行形で息子を見てる訳ですが、どうも主人公の心理に全く共感できない自分が一番、この本の邪魔をしてる気もします。

 

しかし、途中で投げるには余りに勿体ない終わりなので、これから読もうという人は最後まで読んで頂きたい。

 

 

 

 

 

 

評価は★