押井 守 「ゾンビ日記」
初めに断じておこう。
これは小説ではない。ミリタリーマニアが薀蓄を述べてるだけに過ぎない。
世界観としては人間が普通に死んで、ゾンビ化する。ただし、バイオハザード、もしくは一般的なゾンビのように生あるものを襲ったりしない。ただ、腐りもせずに徘徊するだけ。ゾンビに本当の死を与えるため、主人公は屋上から狙撃、つまり頭をぶっ飛ばすことを糧とし生活している。
会話はない。主人公の一人称でのみ語られる。
序盤から中盤、後半に至るとこまで物語に起伏は皆無で、途中でページ飛ばし飛ばしで読んでも差し支えはない。
ただ、随所に散りばめれる引用や考察については興味深い所はあった。
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送りこまれる兵士の100人のうち10人は足手まといです。80人は標的になっているだけです。9人はまともな兵士で、戦争をするのはこの9人です。残りの1人は-------これは戦士です。この1人がほかの者を連れ帰ってくるのです。
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9・11の空爆があった時、たいていの羊、つまりアメリカ国民の殆どはこう思った。
「あの飛行機に乗っていなくてほんとうによかった」
いっぽう護用犬、つまり戦士達はこう考える。
「ちくしょう、あの飛行機に乗っていたかったなあ。なんとかできたかもしれないのに」
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本当に終わりかけに場面は動き、最大の謎である何故、主人公は一人なのかが明かされる。まあ。納得。
正直、お勧めはできない。あと、ご飯美味そう。
評価は★